日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

八幡林官衙遺跡(新潟県長岡市)

 

 【 八幡林官衙遺跡 】

 

  所在地: 長岡市島崎

 

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 島崎川流域の谷に突き出た低丘陵上とそれを取り巻く低地に所在する。

 

 平成2年(1990)、発掘調査が行われ、四方に庇が付いた建物址や郡符木簡、「沼垂城」と記された木簡が出土した。

 

 平成3年(1991)の調査では、木簡や墨書土器など多くの文字史料が出土。墨書土器は9世紀ごろの行政事務を知る上で貴重な史料である。

 

 

 遺跡規模は、約4万㎡。出土した遺物から奈良時代から平安時代にかけて機能した古志郡衙に関連した重要な施設であった可能性が高い。

 「石屋木」と書かれた史料もあり、石屋城あるいは石屋柵を指す可能性もあることから、成立期の性格については、郡衙以外の機能についても考慮する必要のある遺跡である。

 

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 新潟市付近に存在したとされる淳足柵と上越市付近にあったと考えられる越後国府を結ぶルートに存在していること、大家駅の墨書土器などの遺物から考えると、八幡林官衙遺跡=古志郡衙と推定される。

 

 現在は山林であるが、将来的には史跡整備されるようだ。しかし、調査から30年近く経ても整備される気配はない💦

 整備するにも予算が必要であり、重要な遺跡であってもなかなか難しいということだろう。案内板も見当たらなかったので、案内板は設置してもらいたいものである。

 

 (参考資料)

   奈良文化財研究所公式HP 全国遺跡報告総覧