日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

大津絵(滋賀県大津市)

 

f:id:nihonshiseki:20210123100444j:plain

 

 東海道、逢坂関の西側に位置する近江国追分(髭茶屋追分)を発祥の地とし、寛永

間(1624~1644)頃に仏画として描かれ始めた。

 

 当初は信仰の一環として描かれたものであったが、やがて世俗画へと転じ、18世紀

頃からは教訓的・風刺的な道歌を伴うようになった。江戸時代初期には、キリシタン

圧に対し仏教徒であるという隠れ蓑的な役割を果たしていた。

 

 「大津絵」は江戸時代を通じて東海道大津宿の名物となり、文化・文政期(1804

~1829)、【大津絵十種】と呼ばれる代表的画題が成立し、護符としてのとしての

役割も提唱されるようになった。

 

 藤娘=良縁、鬼の寒念仏=子供の夜泣き、雷公=雷除け、外法大黒=無病長寿、鷹匠

=五穀豊穣、座頭=倒れない、瓢箪鯰=水難除け、槍持奴=道中安全祈願、弁慶=火難

除け、矢の根男=悪魔退治など神仏や人物、動物がユーモラスに描かれ、道歌が添えら

れている。

 

 松尾芭蕉「大津絵の筆のはじめは何佛」と、仏画が多かった初期大津絵の特徴が表れ

ている句が残されている。

 

 初期は肉筆であったが、時代が下るにつれ合羽刷・木版画などを併用して大量生産が

行われ、現在も三井寺土産として人気を集めている。

 

 今回ご紹介する「大津絵」は節分にあわせて飾ったもので、鬼が豆を投げる姿がユー

モラスなものになっています(^^♪