日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

西間野猿落しの磨崖碑(群馬県高崎市)

 

  【 西間野猿落しの磨崖碑 】

 

   所在地: 高崎市上里見町字西間野

 

f:id:nihonshiseki:20210328135739j:plain

 

 信州へと通じる草津街道のこの辺りは、猿落し、あるいは暗がりなどと呼ばれた交通

の要衝であり、人馬の通行は極めて難儀であった。

 

 文化6年(1809)、官許を得た篤志家が旧道の上方に平坦な新道を開削した。こ

の新道開通によって交通は便利となり、室田宿を経由しないで三ノ倉宿へ行く人が増加

し、草津への湯治客も含めて神山宿に宿泊するのが常となり、神山宿繁栄の基礎となっ

ている。

 

 碑は本来崖の一部を削り刻まれたものであるが、平成3年(1991)、県道改修工

事に伴い、岩盤から切り取って現在の場所に移設された。

 

 なお碑文に刻まれた文字は・・・、

 

    神山駅西在路曰猿落     神山駅西に路あり 猿落峯と曰う

    峯其嶮可知也多人痛     其の嶮知るべき也 多くの人痛み

    牛馬屠矣近有人請      牛馬屠む 近くに人ありて

    官新開一路比旧路則     官に請うて新に一路を開く 旧路に

    稍平坦今也記歳月并     比すれば則ちようやく今平坦なり 歳月並びに

    録其出費村里云       其の出費を録して村里に云う

    文化六年己巳冬十月     文化六年己巳冬十月

 

 

 こうした民俗資料も貴重な地域の歴史を伝えるものである。「西間野猿落しの磨崖

碑」は道路沿いにあるのだが、人々はかつて難儀な道であったとは露知らず車で行き交

っている。

 

 SNSなどで史跡の存在を知ってもらい、これからも保存していきたい石造物である。

 

 (参考資料)

   榛名町文化財           榛名町教育委員会

   現地案内板