日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

旧渋沢邸「中の家」(埼玉県深谷市)

 

  【 旧渋沢邸「中の家」 】

 

   所在地:  深谷市血洗島247-1

   入館料:           無  料

   休館日:    年末年始(12/29~1/3)

 

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 埼玉県指定旧跡「渋沢栄一生地」であり、渋沢家住宅等として、通称「中の家(なか

んち)」と呼ばれている。

 

 渋沢一族は血洗島の開拓者の一つとされるが、分家して数々の家を起こしている。

「中の家」もその一つであり、各渋沢家の家の位置関係に由来した呼び名である。

 

 代々当主は、市郎右衛門を名乗っていたが、古くは新七郎(安邦)の名まで伝わって

いる。

 

 「中の家」は、代々農業を営んでいたが「苗字帯刀」を許され、栄一の父である市郎

右衛門(元助)の代には、養蚕や藍玉づくりとその販売のほか、雑貨屋・質屋業も兼ね

ており大変裕福だった。

 

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 現在残る主屋は、明治28年(1895)、てい(貞)の婿である市郎(親戚の須永

家から婿入り)によって上棟されたものである。

 

 梁間5間、桁行9間の切妻造二階建で、西側に3間✕3間の平屋部分等を持つ。特に

奥の十畳の間は栄一が帰郷した際のために市郎が念入りに作らせたという。

 

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 主屋を囲むように明治44年(1911)上棟された副屋、土蔵、正門、東門が建

ち、北武蔵における養蚕農家屋敷の形を残している。

 

 

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 昭和60年(1985)からは、学校法人青淵塾渋沢国際学園として使用され、多く

の外国人留学生が学んだが、平成12年(2000)、法人解散によって深谷市に帰属

し活用が図られている。

 

 令和3年(2021)NHK大河ドラマ『晴天を衝け』の舞台として、広く知られる

こととなった。若き日の栄一が過ごした生家であり、付近には「尾高惇忠生家」もあ

る。大河を見て訪れた方も多いのではないだろうか。

 

 今後も深谷市によって、保存整備が進められるようなので注目したい史跡である。

 

 (参考資料)

   現地配付パンフレット

   現地案内板