日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

岡石遺跡(長野県小県郡青木村)

 

 【 岡石遺跡 】

 

    別 名: 令制東山道浦野駅(推定)

         所在地: 小県郡青木村当郷字岡石、字惣門

 

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                                                      ( 惣門B地点 )

 

 大宝元年(701)、『大宝律令』が制定され、全国的に駅伝制が次第に整備された

が、上田・小県地方には浦野駅・曰理駅という二つの駅が設置されている。

 

 天平宝字元年(757)の『養老律令』「厩牧令」に駅馬数が定められており、通常

10匹常備と定められている。浦野駅は保福寺峠という険路を控えていたことから、1

5匹常備と定められた。

 

 信濃国府に隣接した浦野駅が何処にあったのかは未だ判明していないが、一志茂樹氏

は元宿の地名を発見し、浦野駅の中心地を当郷の岡石地区と推定していた。

 

 当地区が圃場整備事業の対象地となったことから、県史主任編纂委員である黒坂周平

氏を中心に、上田小県誌歴史部委員メンバー、青木村教育委員会郷土史研究会などで

事前調査を行い、地形・地名などから発掘地点が選定された。

 

 昭和50年(1975)4月20日から5月7日に第一次発掘調査、11月1日から

12月14日に第二次発掘調査が実施された。

 

 岡石A地点  第一次調査で最初に発掘された地点。縄文時代の石鏃、弥生時代の石

        包丁、箱清水式土甕片、古墳時代の土師器甕類、須恵器大形甕類片、

        中世の青磁白磁などが出土している。

 

 岡石B地点  掘立柱建物遺構の柱穴(ピット)約120を検出。

        遺物の多くが平安後期から中世にかけてのものである。

 

 岡石C地点  平安期と推定される住居跡の一部を検出。

        縄文時代の土錘、弥生時代の磨製石鏃、平安期の土師器・須恵器など

        の遺物が出土している。

 

 岡石D地点  竪穴住居跡17、小竪穴・土壙・ピットなど多数、溝跡1を検出。

        土師器・須恵器が多数出土している。

 

 惣門A地点  完形の古式土師器甕などが出土するも、遺構は検出されず。

 

 惣門B地点  土壙状・ピット状遺構などわずかに検出。

 

 以上のように調査地点からは、予測していた浦野駅跡を積極的に示す遺構・遺物は確

認されていない💦

 

 東山道浦野駅推定地ではあるが、青木村指定史跡として小公園として四阿も建てられ

ている。こうした史跡も地元の歴史を伝えるものであり、今後も大切に保護していくこ

とが求められよう。

 

 (参考資料)

   青木村誌 歴史編 上    

   現地案内板