日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

笹山遺跡(新潟県十日町市)

 

  【 笹山遺跡 】

 

           所在地: 十日町市中条乙3081 

 

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 信濃川右岸で北を水無川、南に才明寺川に挟まれた緩やかな河岸段丘上に立地した縄

文時代中期から後期、中世の集落遺跡である。

 

 昭和56~57年(1981~1982)、笹山野球場建設に伴う発掘調査や昭和6

0年(1985)の陸上競技場建設に伴う発掘調査など、平成2年(1990)まで7

次に亘る発掘調査が実施されている。

 

 平成14~16年(2002~2004)には遺跡範囲確認調査が、平成23~25

年(2011~2013)には3次に亘る学術調査が実施されている。

 

 これまでの調査によって、縄文時代中期中葉から後期初頭の竪穴住居跡112基(う

ち炉跡105基)、土坑5基、配石遺構1基、埋設土器36基などの遺構を検出してい

る。また国宝にも指定されている深鉢型土器57点(うち火焔型14点、王冠型3点)

を含む多数の土器、土偶、石器などの遺物も出土している。

 

 集落は環状ないし馬蹄形に配置され、中央部には埋設土器が検出しており、土器も東

北・北関東・中部高地・汎北陸系といった他地域の土器群も多数出土している。これは

集落が安定した定住生活を示しており、採集や漁撈、狩猟といった生業に適していた地

であり、他地域との交易も行われていたことは明らかである。

 

 さらに中世の遺構として、掘立柱建物跡27基、鍛冶工房跡2基、井戸跡1基、溝跡

1基などが検出したほか、青磁白磁、陶器(珠洲焼、瀬戸・美濃焼)、土師質土器、

硯や砥石、鉄鏃や短刀、北宋銭などの遺物が検出した。遺物から鎌倉時代から戦国時代

にかけての豪族(大井田氏あるいは中条氏か?)居館を核に展開した武家集落跡と推定

されている。

 

 現在、市営陸上競技場や笹山野球場などが建設されているが、未発掘の範囲には復元

竪穴住居2基が設置された遺跡公園となっている。

 

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 十日町市立博物館に展示されている国宝「笹山遺跡出土深鉢形土器」を見る前に、是

非とも出土地である「笹山遺跡」は見学してもらいたいものである。

 

 毎年開催されている「笹山じょうもん市」の時以外は、本当に穏やかな広場である。

現地に立ち、周囲を見渡すことで往時の生活を感じることも現地踏査の重要なポイント

の一つであるように思う。

 

 (参考資料)

    現地案内板