日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

馬場重久の墓(群馬県北群馬郡吉岡町)

 

  【 馬場重久の墓 】

 

   所在地: 北群馬郡吉岡町北下329-1

 

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 馬場重久は寛文3年(1663)、北下村に生まれ、三太夫と称し、医業に携わりな

がら農業技術の改善に取り組み、養蚕研究を進めて、貧農の救済に尽力した人物であ

る。

 

 正徳2年(1712)、江戸で『養蚕育手鑑』を著して農民を指導するとともに、

「馬場鍬」という鍬を考案し普及させるなど、農業の改善をはかり産業発展につくし

た。また、陣場桑という桑の新品種を発見している。

 

 『養蚕育手鑑』は十一条の養蚕に関する条が記されており、蚕の飼育方法を説くほ

か、蚕種貯蔵、蚕具等も記され、古いしきたりに頼っていた初期養蚕業に大きな影響を

与えている。

 

 さて重久の墓であるが・・・、写真左手の墓石。「長山智遠居士」という戒名が刻ま

れている。

 

 全国的には知られていない馬場重久の偉業。しかし彼の養蚕研究はその後の養蚕業に

受け継がれ、やがて明治初期の殖産興業で結実するのである。

 

(参考資料)

  群馬県の歴史散歩  群馬県高等学校教育研究会歴史部会編  山川出版社

  現地案内板