栃木県栃木市南部、渡良瀬遊水地に面した台地縁辺部に立地した縄文時代の遺跡「中
根八幡遺跡」は、平成27年(2015)度から國學院栃木短期大学と奈良大学合同で
学術調査を継続している環状盛土遺構が特徴の遺跡である。
今年度の調査では、盛土遺構の存在が推定される遺跡東端部分のC区トレンチで実施
されました。前年度の発掘調査部分の北半分にサブトレンチを設定し、遺物包括層をさ
らに掘り下げています。
( C区トレンチと奈良大学 小林青樹教授 )
このトレンチから縄文時代中期から後期にかけての土器片(加曾利B・真行寺式)を
多数出土されました。
※ 国立歴史民俗博物館の中村耕作先生から御教示頂き、
誤 真行寺式
正 安行式
に修正致します。
この場をお借りして中村耕作先生に御礼申し上げます。
2021年度の調査で検出した浅い柱穴と推定されるピット。2箇所の柱穴の炭化物
を放射性炭素年代測定したところ、約3300年前から3400年前(縄文後期後葉)
を示す値であることが明らかになりました。
また今年度も土壌の年代測定を依頼したとのことなので、来年度の現地説明会で報告されることでしょう。
( C区トレンチ サブトレンチ )
サブトレンチの西寄り部分から廃棄土坑を検出し、縄文中期後葉の大形土器片や破砕
礫などの遺物が出土しています。
今回の調査での出土遺物で特筆すべきは、縄文後期後葉の山形土偶が出土したこと
で、土偶耳部には耳環が装着されていた表現が見られます。
※ 山形土偶に関しても、中村耕作先生から縄文後期中葉の可能性も残されているとの
御教示いただきました。
このほか、耳環や石鏃、石核、黒曜石原石なども出土しています。
「中根八幡遺跡」の学術調査は来年度も継続されますので、今後の調査も要注目で
す!!
なお、今回の調査では国立歴史民俗博物館准教授・中村耕作先生、奈良大学・小林青
樹教授の御教示を頂けました(^^♪
来年度以降は、奈良学友会関東支部北関東ブロックとしても何らかの活動できないも
のか(遺跡見学や土器洗浄体験等)じっくり考えていこうと思います。