【 岩鼻 】
千曲川を挟んで左岸(上田市)を半過岩鼻と呼び、柱状節理が発達した石英角閃石ひん岩を主体とする。右岸(坂城町)を下塩尻岩鼻または塩尻岩鼻と呼び、緑色凝灰岩を主体とする。両者の差異は壁間に千曲川断層が存在することを示唆している。崖の高さは約120mで、平坦な崖上面には河床礫がみられる。
『源平盛衰記』では塩尻狭と記され、古くは岩端、岩花、嚴華とも記されている。
( 「半過岩鼻」 )
かつて岩鼻より上流が湖であったことに由来する字が塩尻(湖の北端を意味する湖尻に由来する)であり、佐久郡には湖の南端に位置していたことに由来する海の口・海尻・海瀬という字が残されている。
当地には大ネズミが岩鼻を食い破り、湖が失われたという伝承や、ダイダラボッチ伝説が伝わっている。
地質学、生態学といった分野からも貴重なことから長野県指定天然記念物となっている。