【 矢那瀬の石幢 】
『新編武蔵風土記稿』矢那瀬村の条に「石灯篭一基、明応八年(1499)ニ造立セ
シ銘アリ、柱ニ石モテ作レル車アリ」と記されている。
石幢は平安時代末期から造立されはじめた供養塔で、名称の由来は定かではない。一
説では、寺の須弥壇脇の飾りである幢幡を六組か八組合わせた形に似せたものとされて
います。
「矢那瀬の石幢」は安山岩製の高さ1.69mの重制石幢で、下から基礎・幢身
(竿)・中台・龕部・笠・請花・宝珠の順に積まれている。
基礎四面には胎蔵界四仏の梵字が刻まれ、その上の幢身にはわずかにエンタシス(胴
張り)が見られ、南無阿弥陀仏の名号を彫った車石が付いている。
車石は後生車とも呼ばれ、廻せば念仏を唱えたのと同様で、死者の輪廻転生を救うと
されています。
また銘文中に「庚申供養本願勧進一結諸衆等」の文言も見られることから、塔が庚申
供養も兼ねていることがわかる。
龕部には六地蔵が彫られ、笠上部には顕教の四方仏(観音・弥陀・釈迦・薬師)の梵
字が刻まれています。
これまで石造物を発見してもなかなか細部の意匠にまでは注目してこなかったのだ
が・・・個々の石造物にも興味深い意匠が施されており、「矢那瀬の石幢」はそれを気
付かせてくれた。
同史跡は2年前に訪れたものであり、この頃はまだ然程じっくり鑑賞してはいない
(+_+) それでも細部の意匠まで見ようとはしていたようで💦奈良大学通信教育部で学
び、徐々に成長している過程が垣間見えます。
まだまだ浅学であることを自覚し、日々踏査の精度も上げていくことも今後の課題で
ある。興味あるなし、専門専門外というこだわりを捨て、個々の文化財に向き合ってい
けることを今後更に心掛けたい。
(参考資料)
新・長瀞ひとり歩き ー文化財・名所をたずねてー 長瀞町文化財保護審議会
現地案内板