日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

伊興遺跡(東京都足立区)

 

  【 伊興遺跡 】

 

            所在地: 足立区東伊興4-9-1

 

  【 伊興遺跡公園展示館 】

 

    入館料:      無  料

            休館日: 12/29~1/3 その他教育委員会で定めた日  

 

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 足立区は太古は遠浅の海の底にあったとされ(千住からシロナガスクジラの骨が発見されている)、縄文時代中頃から海水が退いて陸地が広がり、人々が生活できる原野が広がったとされる。

 

 伊興遺跡は、毛長川右岸の自然堤防上にあり、東西690m、南北660mの遺跡で東京低地の代表的な遺跡として知られます。

 

 昭和32年(1957)、國學院大學・大場磐雄教授らによって発掘調査が実施され、水辺で神に祈る儀式に使われたと思われる須恵器や子持勾玉などが出土し、村落の祭祀を盛大に行った祭祀遺跡と学会に発表したが、小規模な調査であったことから遺跡全体の姿は明らかには出来なかった。

 

 平成に入り、遺跡の大規模な調査が実施され、大陸との交易やヤマト王権との接触がうかがえる土器や、毛長川を利用した水運を推測させる木舟の形代など貴重な発見が相次ぎ、平成8年(1996)には延暦17年(798)銘の木簡、馬に乗った古代役人らしき人物が描かれた騎馬木簡も出土し、注目を集めている。

 

 以上のような発見から、伊興遺跡は縄文時代後期から平安時代に亘る複合遺跡であることが明らかになっている。

 

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 弥生時代末期から古墳時代初期にかけて造られた方形周溝墓も検出していることから、人々の間に身分(階層)差があったことも推測される。

 

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 弥生時代の竪穴住居も復元され、人々の営みがあったことが展示されています。

 

 奈良時代には古代役所的な施設があったとされていますが、平安時代以降、集落は衰退し、十四・十五世紀には墓地になっていたようです。

 

 

 発掘調査で出土した遺物も展示され、公園となっていることから散策にはお勧めできる遺跡です。

 これからの時期、散歩がてら訪れてもらいたいと思います(^^♪

 

 (参考資料)

    東京の古墳を歩く      大塚初重     祥伝社新書

    現地案内板