日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

下滝館跡(群馬県高崎市)

 

  【 下滝館跡 】                                評価 ★★

 

     別  名:     滝の陣

     所  在  地:  高崎市下滝町字前畑

     築城年代: 文明9年(1477)

     築  城  者: 足利成氏・大井田氏

     区  分:         陣 城

     現  状:        宅地・耕地

 

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 東西120m✖南北105mの西館と東西110m✖南北95nの東館とが堀を共有

して並んだ縄張りである。

 

 西館は本郭が東西65m✖南北95mで折もあり、西側に二郭加えている。このニ郭

のうち、北郭は武器屋敷とも呼ばれている。周囲に土居と堀を巡らせ、折を設けるなど

戦闘を想定した構えとなっている。

 

 故山崎一氏は、古河公方足利成氏の築いた館の特徴をもっていることから、文明9

年(1477)、足利成氏の滝張陣の際の本陣として築かれたものと推定している。

 

また東館は、中央と西の二郭を東郭が南まで回り込み覆う形式で、折はなく、中央郭を

本郭とし、南面に食い違い虎口を設けている。このことから西館同様に戦闘を想定した

構えであることは明らかである。

 

 東館は西館と同じ堀を使用していることから、西館と一体と考えられるが、西館に向

かい土居が構えられている。このような例は太田市の「江田城」にも見られ、館主が絶

対的権力を持てず、武将の中で相対的に地位の高い状況が反映された縄張りである。

 

 東館は大井田氏が築いたとされており、主従関係が曖昧な中で足利成氏の陣に加わっ

た状況をよく表している。

 

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 遺構として土塁・堀跡が確認出来るのだが、宅地敷地内であったり、民家脇であった

りと容易には近づけない。訪問時には時節柄注意が必要である。

 

 (参考資料)

   新編高崎市史 資料編3 中世Ⅰ