日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

前戸内遺跡(宮城県刈田郡蔵王町)

 

  【 前戸内遺跡 】

 

   所在地: 刈田郡蔵王町小村崎字前戸内

 

 

 「前戸内遺跡」は、小村崎地区の円田盆地に西から延びる細長い丘陵上に営まれた遺

跡である。

 

 平成20年(2008)、平成21年(2009)の二ヶ年にわたり県営圃場整備事

業に伴う発掘調査が実施され、平安時代前期の掘立柱建物跡23棟、竪穴住居跡18軒

などが検出しています。

 

 掘立柱建物跡の一部はL字形に並び、大きな柱穴を有した主屋、倉庫と推察され、こ

の地域で中心的役割を果たした有力者(豪族)の住居であった可能性が指摘されていま

す。

 

 竪穴住居跡は小型なものが多く、土師器・須恵器、、鎌、砥石などのほか、墨書土器

が出土しています。

 

 墨書土器は、「大」、「内」、「丈」、「人」、「本」、「善」、「勝」、「草

手」、「苅田」などと記されていました。

 

 『続日本紀』には「養老5年(721)陸奥柴田郡の二郡を分割して苅田郡を置

く」と記されており、墨書土器の「苅田」は当時の郡名の可能性が指摘されています。

 

 苅田郡二郡が具体的にどの地域を示すのかは明確ではありませんが、古代円田盆地は

苅田郡に含まれていた可能性が高いことを示す遺物として注目されています。

 

 

 円田盆地にある数々の遺跡は案内板が設置されているものが多く、考古学を学ぶもの

にとって嬉しい地域である。

 

 近年では地域の誇り(愛着心)を育む一環として、地域の文化財に案内板を設置して

いる自治体(もしくは自治会など)も見られるようになったのは良い傾向だと感じてい

る。

 

 是非、蔵王町の取り組みを見習い、地域に残された史跡(遺跡は表面上は何も残され

ていないが💦)に光をあててもらいたいものである。

 

 (参考資料)

   円田盆地の遺跡群 発掘成果から見えてきた平沢・小村崎の歴史  蔵王町教育委員会

   現地案内板