日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

六角遺跡(宮城県刈田郡蔵王町)

 

  【 六角遺跡 】

 

            所在地:  刈田郡蔵王町小村崎字六角

 

 

 蔵王町小村崎地区の円田盆地から北に延びる丘陵上に所在し、平成18年(200

6)、平成19年(2007)、平成23年(2011)の三次にわたり県営圃場整備

事業に伴う発掘調査が実施されている。

 

 発掘調査では、縄文時代の狩りに用いたと思われる落とし穴跡39基、古墳時代・奈

良時代・平安時代の集落址が検出しています。

 

 古墳時代の集落址(竪穴住居址8)は切り合い(遺構が重なり合っている状況)はな

く、同一方向を向いて建てられていること、出土した土器の形式的特徴に変化が少ない

ことなどから、古墳時代前期中葉の短い期間に営まれたものと推察されます。

 

 奈良時代の遺構としては8世紀前半頃の竪穴住居址や掘立柱建物址が多数検出された

ほか、幅約2mの大溝によって南北約70m、東西約60mの四角い区画も検出してい

ます。

 

 竪穴住居址のカマド址は関東地方のものと同様であり、また出土した土器も関東・福

島の形式をもったものが数多く含まれていました。

 

 奈良時代、東北の地は蝦夷が居住していましたが、大和政権が蝦夷討伐を進め、関東

地方から開拓移民が送り込まれています。「六角遺跡」はそうした開拓移民の集落址と

推察されます。

 

 

 蔵王町は発掘調査が実施された遺跡に豊富に案内板が設置されています。表面上は遺

構も確認できませんが・・・こうした案内板があるだけでも踏査の価値があるというも

の。

 

 貴重な遺構・遺物が検出した遺跡も発掘調査が実施されたら保存されることなく、破

壊されるのが常であることからも、案内板くらいは設置して欲しいものです(設置にも

経費は当然かかりますから費用対効果分析は必要になるでしょうけれども💦)。

 

 (参考資料)

   円田盆地の遺跡群 発掘成果から見えてきた平沢・小村崎の歴史

   現地案内板