日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

「保美西浦遺跡 C地点」発掘調査現地説明会!!(群馬県藤岡市)

 

 令和6年8月18日(日)、藤岡市保美に所在する「保美西浦遺跡」において発掘調

査現地説明会が開催されました。

 

 

 令和4年度より保美地区での県営圃場整備事業に伴い、藤岡市教育委員会によって発

掘調査が実施されており、今年度は第3次調査となります。

 

 保美地区ではこれまで発掘調査はほとんど実施されておらず、過去2年の調査で、古

墳時代から平安時代にかけての集落跡や中世の溝跡が検出しています。残念なことに、

圃場整備事業によって遺跡保存が困難な範囲を対象としており、記録保存を目的とした

調査(調査後、遺跡の遺構は破壊されるという意💦)ということ。

 

 先ずは・・・

 

 

 「保美西浦遺跡」は、古墳時代から平安時代にかけての集落遺跡であり、第3次調査

でも竪穴住居址が多数検出しています。同時に住居遺構内から土師器・須恵器といった

遺物が出土している状況が確認できます!!

 

 そして、藤岡市内では下日野金井窯址群(8世紀)、稲荷屋敷遺跡(10~11世

紀)で検出された製鉄炉遺構が「保美西浦遺跡」でも検出しました。藤岡市域の神流川

沿岸では初の検出例となります。ちなみに群馬県域では35例目となります。

 

 

 炉は直径約60㎝ほどの小さな円筒状であり、7世紀後半(飛鳥時代)の国家標準型

製鉄炉=箱形炉(大規模製鉄が可能な一方、一度製鉄すると炉壁をすべて破壊してしま

い、再利用に手間がかかる欠点を有する)でも、8世紀代(奈良時代)の半地下式製鉄

炉=竪形炉(炉の再利用が可能。朝鮮半島製鉄炉と類似)でもない、10世紀代(平安

時代)の小型自立炉というタイプの製鉄炉です!!

 

 炉前面には鉄滓が広がっており、排滓場も併せ、合計7基が確認されました。しかし

ながら、鋳型や取鍋といった鉄の鋳造に必要な道具は出土していない。

 

 

 しかしながら、わずかではあるが・・・木炭が出土していることから、当該炉の年代

が明らかになることでしょう。

 

 「保美西浦遺跡」の性格は、調査報告書でまとめられることになりますが・・・現時

点では、集落内では鉄の加工までは行われていなかったと推察されています。

 

 

 説明会当日も、肌を刺すような陽気であり、遺構の説明を聞いている最中にも汗が流

れ落ちるほどであった💦💦

 

 そんな中であっても、地元紙に掲載された影響もあっただろうが現地説明会に参加す

る方が多いことに吃驚したと同時に、C地点が民家脇にあったこと。説明会実施も地域

住民の協力あってのことだし、地元住民の方々にも敬意を表しますm(__)m

 

 (参考資料)

   保美西浦遺跡 C地点 発掘調査現地説明会 配布資料