本日(2021.10.17)、前橋市上細井町の「上細井中西部遺跡Nо.4」発
掘調査現地説明会に参加してまいりました。
前橋市教育委員会では、平成30年度から上細井中西部地区土地改良事業に伴う埋蔵
文化財の発掘調査を実施しています。令和3年度の今期が発掘調査最終年度で、調査地
は白川扇状地の扇端部に位置する上細井中西部遺跡群の最北西にあたります。
前回の調査はこちら https://nihonshiseki.hatenablog.com/entry/2020/10/11/192747
調査地は広大であり、今回調査地全景は撮影不可💦💦💦
今回の調査では、縄文時代の土坑、古墳、奈良・平安時代の竪穴住居跡などが検出さ
れています。貴重な遺構のいくつかを今回は厳選してご紹介致しますm(__)m
D工区4区ー1 「H14(手前)」「H13(奥)」
奈良・平安時代の竪穴住居跡であり、竈の状況が良好に残っています。
D工区4区ー1では、こうした住居跡が10軒以上検出しています。
出土遺物から8世紀から9世紀と考えられます。
2号住居 中央にある石・・・これは金床石。鉄を叩くときの台として用いたもの
が検出しています。
ふいごの羽口片や鉄滓なども出土しており、鍛冶などが行われていた可能性が高いで
す。金床石脇にも鉄滓が見られます。
D工区3区では、1号古墳が検出されています。残念なことに後世の耕作などによっ
て墳丘や玄室などは破壊されていますが、羨道の石組の状態、周堀は良く残されていま
す。
昭和30年(1955)に発行された『南橘村誌』では南橘村45号墳として報告さ
れている古墳です。
南側に開口部のある横穴式石室で、周堀の様子から円墳であったと推定されます。推
定20mほどの大きさで、埴輪が出土しないことや前庭部から出土した須恵器片などの
遺物から古墳時代後期のものとも考えられています。
墳丘上には石塔があり、寛永通宝が5枚ほど出土していることから、後世も塚と認識
され、地元の人々に祀られていたようです。
石室に用いられた石材ですが・・・、赤城もしくは榛名産出の安山岩と思われます。
特筆すべきは・・・周堀から大刀、八窓鍔と思われる鍔が出土していることですね。
調査区南側では、縄文時代の遺物が多数出土しています。土器片や打製石器などが確
認出来ます。
縄文時代の土坑1基も検出しており、室と考えられます。これは珍しい遺構です(^^♪
小雨が降っていましたが、終わるころには天気は徐々に回復。
調査後には道路整備によって遺構は記録保存された上で破壊されてしまいますので、
貴重な遺構をしっかり確認できて良かったです(^^♪
最後になりましたが・・・、調査区を隈なく案内いただいた前橋市教育委員会調査担
当者の方にはお世話になり感謝申し上げますm(__)m