日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

上庄司原2号古墳(群馬県前橋市)

 

 【 上庄司原2号古墳 】

 

   所在地: 前橋市富士見町横室279、398外

 

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 平成元年(1989)、県営圃場整備事業に伴う発掘調査が実施され、当初は記録保

存される(すなわち破壊される)予定であったのだが、比較的残存状態の良い「上庄司

原2号古墳」は現地保存を目指したものの叶わず、石室のみが移築保存されることとな

った。

 

 発掘調査では、周掘や葺石も確認されたほか、縄文時代平安時代の竪穴住居跡が重

複して検出。平安時代の土坑墓も検出している。

 

 昭和10年(1935)に実施された群馬県下古墳一斉調査では、富士見村9号古墳

とされている直径約28mの円墳であり、榛名山二ッ岳噴出の角閃石安山岩の転石を用

いた削石積両袖型横穴式石室。全長約5.9m。玄室長約3.6m、玄室幅約2.2m、羨

道長約2.35m、羨道幅約約1.0m。間仕切りによって奥室と前室に区切られ、奥室

の床面が一段高く造作されていた。

 

 玄室は右壁に比べ、左壁の残存状態が悪いが、床面に小礫が敷き詰められており、綺

麗な状態であったことから、古墳築造後まもなく左壁から崩落したと推定されている。

崩落が幸いして、遺物の大半が盗掘を受けず残存し、埋葬当時の副葬品内容がわかる貴

重な古墳である。

 

 遺物として土師器・須恵器、刀、馬具、武器、刀子、耳環、ガラス玉が出土してお

り、遺物などから6世紀後半から末葉に築造されたと推測されている。

 

 

 横室古墳公園内に移築保存された「上庄司原2号古墳」。地域史を明らかにする上で

貴重な遺跡であっても、発掘調査後は破壊され記録保存という状況の中、石室のみであ

っても移築保存された稀有な例であるということを多くの人々には知って貰いたい。

 

 だからこそ、保存された遺跡はフィールドワークや観光等に積極的に活用されるべき

ものなのである。当然ながら保存には予算がかかり、官民一体となった整備が必要なの

である。写真を見てお判りの通り💦整備の手は回らず💦草が茂る状況💦

 

 今後、論文はもとよりブログなどでも遺跡保存と活用について触れて行こうと思いま

す(^^♪

 

 (参考資料)

   現地案内板