【 銭室塚古墳 】
所在地: 大田原市北滝918
那珂川左岸の段丘上に所在し、一帯にはかつて数基の円墳が所在していたというが、
「銭室塚古墳」以外は失われている。那珂川対岸の小船渡古墳群とともに那須地方の古
墳圏の北端に所在し、同古墳群の観音塚古墳との関連性を指摘する説がある。
直径約26m、墳丘高約4.5mの円墳(截頭円錐形)で二段築成。墳丘表面には川原
石による葺石が認められる。また墳丘周囲には幅5m程度の周濠が巡らされる。
埋葬施設は両袖式横穴式石室で南南西に開口している。石室全長9.3m、玄室長6.
3m、玄室幅1.4~2.0m、玄室高1.45m。羨道長3m。
石室奥壁は花崗岩の一枚石で、側壁は約1.3mの山石の上に川原石の乱石積みで構成
されており、若干胴張り形を呈している。天井石は花崗岩5枚で、床面は川原石による
礫床である。羨道部は、天井石が過去の盗掘によって外されたために埋没し、外された
天井石の一個は墳丘南斜面に遺存しているというが・・・、発見できなかった💦
発掘調査が未実施であること、過去盗掘に遭っており副葬品が失われてしまっている
ことから不明な点はあるものの、古墳時代後期・6世紀末葉頃の築造と推定される。
古墳名は金銀珍宝を埋めた塚との伝承による。田圃の中にポツンと1基とあり、古き
良き時代を思い出させてくれるのではないだろうか。
大田原市には日本三古碑の一つ「那須国造碑」や日本考古学発祥の地として知られる
「上待塚古墳」など、考古学を学ぶものにとって訪れたい地が豊富に所在する。是非ゆ
っくり踏査してもらいたい街である。
(参考資料)
現地案内板