【 喜多家住宅 】
所在地: 野々市市本町3-8-11
休館日: 月曜日、年末年始
入館料: 大人 ¥400 小人 ¥200
喜多家は、もとは高崎を姓にした福井藩士でしたが、貞享3年(1686)、藩主・
松平綱昌が狂気を理由に蟄居となり、前藩主・松平昌親が50万石から25万石と領地
の上で再襲することとなると、禄を離れてこの地に移住することとなった。
その後、代々治兵衛と名乗って菜種油の製造販売を生業とし、屋号を油屋と号してい
る。幕末からは酒造業を営んでいます。
明治24年(1891)4月、野々市大火🔥によって、喜多家住宅も三棟の土蔵を残
して焼失。そこで金沢材木町の醤油屋の主屋を買い求めて移築している。
間口七間半、奥行七間の二階建てで、正面の木むしこ格子、「さがり」と云われる小
庇の板壁、雪除けのための土縁、けやき造りの大きな自在鉤、土間の吹き抜けに展開す
る梁組など典型的な金沢の町家形式を示す建物である。
平面は通り土間式で、土間沿いは前面に板敷きの帖場、奥に五間通しの「おえ」、土
間境は間仕切りを設けず上がり框だけで開放的な広い空間となっている。
上がり框部は吹き抜けであり、縦横に架けられた大梁や梁行にかかる二重梁、三重
梁、その間に二段に貫が通る小屋束など、意匠的に洗練された構造となっています。
その様式から、文化文政期(1804~1830)と推定されています。
非公開エリアの酒蔵は、明治3年(1870)の建造であり、主屋北側に接続し、作
業場を中心に、東側に前蔵・酒蔵、西側に貯蔵庫を配する。
是非見てもらいたいのが、囲炉裏の見事な灰形。いつ頃から始められたのかは定かで
はないが、茶湯の豊かな教養が伺える。
「喜多家住宅」は野々市市の優れた文化度を体感できる古民家である。金沢の茶屋街
も素晴らしいが、少し足を延ばして野々市市も是非散策してもらいたい街である。
(参考資料)
現地配付パンフレット
現地案内板