【 博士王仁碑 】
所在地: 台東区上野公園1-29
博士王仁は、『古事記』などによれば古墳時代前期に百済から渡来し、「論語」や
昭和11年(1936)、趙洛奎という人物が国学者で皇明会長の四宮憲章を訪れ、
王仁の顕彰碑を建立したいと自作の碑文を示し、四宮に添削を請うたという。
四宮はこの申し出を受けて後援会を組織し、井上哲次郎・中山久四郎を主唱者に立て
寄付金を募った。その結果、協賛者として近衛文麿・徳富蘇峰・林銑十郎・頭山満ら、
特別協賛者として水野錬太郎・鈴木貫太郎・宇野哲人・白鳥庫吉・韓相龍ら錚々たる人
物が名を連ねた。また昌徳宮から下賜金も交付されている。
昭和15年(1940)4月、碑は建立され、その除幕式が挙行されると、各大臣、
朝鮮総督、東京府知事らが参列し、来賓祝辞として荒木貞夫、林銑十郎が行うなど官主
導で除幕式は行われている。
その後、王仁生誕地とされる扶余、伝王仁墓のある大阪にも碑が建立される予定であ
ったのだが・・・戦局の悪化に伴って計画は頓挫した。
なお、昭和16年(1941)には副碑も建立されている。
さて、このように建立の経緯をみると、第二次大戦中の皇国思想が色濃い碑であるこ
とが分かる。しかしながら、現在ではそのような経緯は知られることもなく、穏やかな
日常を過ごす人々で賑わう上野公園にひっそり?佇んでいる。
上野公園内にある「博士王仁碑」を訪れ、日韓の歴史を考え、これからの友好的な日
韓関係を築こうという思いを強くして欲しいと切に願う次第である。
(参考資料)
現地案内板