【 法隆寺 西院伽藍 三経院と西室 】
桁行十九間。梁間正面五間、背面四間。一重。切妻造。妻入。本瓦葺。正面一間通り庇付。向拝一間。桧皮葺。
世界遺産・法隆寺には数々の国宝が存在するが、「三経院と西室」も国宝指定されている。
もともとは西院伽藍廻廊の西側に隣接した南北に細長い僧房として建立されたが、承暦年中(1077~1081)に焼失。
寛喜3年(1231)に回廊から離れた現在の位置に再建されたものが、現在の建物である。
南側七間が三経院、北側十二間が西室であり、西室は文永5年(1268)に建立された可能性が高い。
檜皮葺の向拝をもった階段を正面とし葺き放しの広庇を設け、正面は蔀戸、東西の側面は蔀戸と板扉で閉じられています。
三経院は、聖徳太子(厩戸皇子)が撰述したという『三経義疏』に因んだ名称であり、『勝鬘経』・『維摩経』・『法華経』の三経を講義し、実践する道場です。
寝殿造の対屋を想像させる住宅風仏堂であり、三方に高欄付の縁が設けられ、軸部には自然石礎石に丸柱を立て(石場立て)、組物は大斗肘木、軒は角垂木一軒とし、広庇は一軒疎垂木である。
西室はニ間一房制の僧坊の外観をよく伝え、北端一間のみ土間床・他は全面板敷となっている。
建築上も非常に注目して良い建物なのだが、法隆寺ではなかなか注目されていないのが現状だと思う。
しかしながら、法隆寺伽藍内のいずれもが非常に優れた建造物であることから、やはり法隆寺は一日かけてでもじっくりと散策すべき場所であろう。
(参考資料)
現地配布パンフレット
現地案内板