【 左願寺廃寺 】
所在地: 須坂市小河原新田町
千曲川左岸段丘に所在し、現在は果樹園・宅地となり基壇等の明確な遺構は確認出来
ないが、見落としてしまいそうな案内板が設置されており、立ち寄ってみた。
昭和7年(1932)、神津猛氏が郷土誌『信濃』に「左願寺の古瓦」で紹介したこ
とで学会で知られることとなり、昭和44年(1969)、興津正朔氏が郷土誌『高
井』第10号で「須坂市北小河原左願寺の古瓦」で表層採取した古瓦を紹介している。
表層出土していた古瓦は、軒丸瓦・軒平瓦・丸瓦・平瓦であったようで、軒丸瓦は八
葉複葉蓮華紋。善光寺出土の線鋸歯紋と同種と推察され、法隆寺式軒丸瓦の要素が見ら
れることから、七世紀後半のものと推定されている。
また上田や坂城で確認されている蕨手文軒丸瓦も同地で出土していることが報告され
ている。
発掘調査は未実施であり、伽藍配置など詳細不明な廃寺であるが、出土瓦から積石塚
を築造したり、古代牧を経営していた高井郡の渡来系氏族が造営に関与していたと推察
されています。
いずれにしても本格的な発掘調査が未実施の遺跡であり、今後の調査研究の深化が望
まれます。しかし、案内板が設置されていれば、遺跡であることが周知されると共に、
考古学を学ぶものにとって踏査対象となり得るので非常に有難いことですわ(^^♪
(参考資料)
現地案内板