【 町北遺跡 】
所在地: 安中市安中 旧安中高校校庭
「町北遺跡」は九十九川と碓氷川という二大河川に挟まれた原町・安中台地に位置
し、九十九川、碓氷川の河床面まで比高差20mの急峻な断崖に囲まれています。
台地上は南北600m程度の広さで、東西に横長の台地であり、中・近世には「安中
城」が構えられています。
発掘調査概要は・・・こちらで確認していただくとして
その成果は、
①推定東山道駅路
・安中市内では初めての発見である
・8世紀前半頃には道路としての機能は廃絶。別の場所に移設されている。
➡ 東山道駅路が何処に移設されたかを明らかにするのが今後の課題
②総柱建物・大型掘立柱建物
・両建物は軸を合わせて建てられており、8世紀前半頃に同時に機能していたと
推測される
・総柱建物には地業と呼ばれる建物の基礎工事が行われており、その上には礎石
が置かれていたと推測される
・総柱建物の屋根には瓦が葺かれていたと推測される
・どちらかの建物の壁が漆喰壁であった可能性が考えられる
③瓦廃棄土坑
・奈良・平安時代(8~10世紀)に掘られた建物建材等を廃棄するための土坑
・瓦などの建材は基本的に西側の総柱建物跡の方向から流し込まれている
・下層からは建物の壁材に使用したと考えられるスサ、粘土、漆喰層が検出
というものであった。
「町北遺跡」は安中市新市庁舎建設工事に伴うものであり、新庁舎建設予定地なので
すが・・・今回の発見によって遺跡を保存する方向を岩井市長が表明したようです。
庁舎建設は当然耐震面等々で鉄筋コンクリート造となるでしょうから、建設の際には
地中の遺構は破壊されることになります。
遺構保存(当面は地中保存されるとのこと)の方向ということは、Ⅰ 新庁舎建設場所
の見直し、Ⅱ 新庁舎建設設計の見直しということになるのでしょうか。
「町北遺跡」での発見は、古代碓氷評(碓井郡)の中心地の解明に向けて大きな発見
であり、遺構保存という政治決断は大いに評価されるべきでしょう。
今後の調査に関しても注視していこうと思いますm(__)m
(参考資料)
発掘調査現地説明会配布資料