日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

戌立石器時代住居跡(長野県東御市)

 

  【 戌立石器時代住居跡 】

 

            所在地:  東御市滋野乙3464-1

 

 

 「戌立石器時代住居跡」は、西沢川・大石沢川に挟まれた日尻沢の谷口にあたる扇状

地上に位置する。日当たりが良く乾燥地ながら、近くに川も多く生活用水を得やすい地

である。

 

 昭和5年(1930)、小規模な発掘調査が実施され、敷石のある竪穴住居址(柱

穴・炉跡および炭跡6ヶ所)が検出されたほか、獣骨片・土器類・磨製石斧・石鏃など

が出土しました。

 

 昭和8年(1933)、史跡指定の際、遺跡破壊の防止を兼ねて復元家屋が建てられ

ましたが、発掘された遺構に復元施設を設けたのは日本初のこととして、注目を集めま

したが、老朽化によって崩壊しています。

 

 昭和58年から59年(1983~84)にかけて、遺跡範囲確認調査が実施され、

石器時代住居跡をほぼ中心に、旧東部町部で約63,000㎡、小諸市に跨る範囲を含め

ると約80,000㎡以上に及ぶ大遺跡であることが明らかとなりました。

 

 昭和63年(1988)、地元住民によって崩壊した家屋に代わり、再度復元住居が

建てられ、令和5年(2023)には東御市などに在住する有志団体「戌立・寺ノ浦石

器時代住居跡保存会」によって第1回戌立縄文祭が開催され、遺跡の保存活用が図られ

ようとしています。

 

nihonshiseki.hatenablog.com

 

 

 地元有志によって遺跡の保存活用が図られており、今後の動向が注視される遺跡のひ

とつである。

 

 「戌立石器時代住居跡」と隣接する「寺ノ浦石器時代住居跡」を繋ぐ散策路もあり、

踏査中には地元の方から声をかけられたのも好感が持てる。地域の人々の愛着あってこ

その保存活用であり、地域活性化につながってもらいたいものである。

 

 観光地化ということは難しいだろうが・・・、考古学を学ぶものは著名な遺跡だけで

はなく、是非各地の遺跡に足を運んでいただきたい。

 

 足を運ぶことで少なからず飲食はするであろうし、それが地域を潤す一滴となるのだ

から(^^♪

 

 (参考資料)

   現地案内板