日本史跡研究会 日々の徒然~埋もれた歴史を訪ねて~

日本各地の埋もれた史跡などをご紹介致します。また、日本史跡研究会の活動についてもご紹介しております。

坂田医院旧診療所(埼玉県熊谷市)

 

  【 坂田医院旧診療所 】

 

            所在地: 熊谷市妻沼1420

    入館料: 無 料

 

    ※ 開館日については要確認のこと

 

 

 昭和6年(1931)、坂田康太郎氏が産科医院として建造。設計者は不詳。

 

 鉄筋コンクリート造、平屋建て。外壁正面は玄関ポーチを付け、タイルの表面を櫛引

き平行の溝を作り焼成したスクラッチタイル貼りとする洋風建築様式である。

 

 内部は壁・天井ともに石膏を主体とした石膏プラスター仕上げで、蛇腹は各部屋意匠

を変えており、畳張りの待合室には簡素ながら天井飾りも付けられている。

 

 造作材は、床のフローリング、腰羽目板、建具、枠木いずれも南洋材とみられる木材

を使用し、照明器具はアールデコの影響を感じさせる意匠で、いずれも華美なものでは

ないものの、当時の流行を取り入れた端正なデザインでまとめられている。

 

 

 受付・調剤所、待合室、応接室、診察室、分娩室、手術室、給湯室、レントゲン室、

暗室、便所の各部屋が配置され、主要な部屋を正面側に並べ続き間とし、背面を明かり

の差し込む廊下とする機能的な配置となっている。

 

 以前は北側に病棟、西側に主屋、北西に新病院があり、渡り廊下で結ばれていまし

た。昭和50年代前半まで使用されており、維持管理の為に窓をアルミサッシに取り換

えるとともに、屋根防水工事も行われていたことから、保存状態が良好に保たれていま

した。

 

 建物は開業医であり妻沼町議会議員として活躍した康太郎氏、その息子である晃氏、

孫の川口早苗氏へと引き継がれましたが、その後熊谷市(旧妻沼町)が購入し、保存活

用され、映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」、「ゲゲゲの女房」などの

撮影現場としても使用されています。

 

 

 隣接して無料の観光駐車場もあるので、妻沼散策の拠点にするのも良いかもしれませ

ん。運が良ければ(おそらく平日でしょうけれども)撮影現場に遭遇する可能性もあり

ますね。

 

 妻沼といえば聖天さんを訪れることでしょうが・・・道すがらですので「坂田医院旧

診療所」も併せて御見学下さいませm(__)m

 

 (参考資料)

   現地配付資料

   現地案内板